法事や葬儀などで渡すことのある「お布施(おふせ)」。これは日本の文化や宗教において重要な意味を持つ概念です。厳格なルールがあるわけではないものの、渡し方や入れる金額など、事前に知っておきたい事柄がいくつかあります。
重要なのは感謝の気持ちを示すことですが、お布施についての基本的なルールは押さえておくことが望ましいです。
お布施とは何か
「お布施」とは、仏教において僧侶に財物等を提供する行為を意味します。
一般的には、法事、葬儀などにおいて、読経(どきょう、どっきょう:お経を読み上げること)や戒名(かいみょう:あの世における個人の名前のこと)を受けたことに対する感謝の気持ちとして、僧侶に渡す金銭のことを指します。
僧侶に対する報酬としてではなく、仏様やご本尊に供養するものと考えられており、金額に決まりも本来ありません。
お布施を渡すタイミング
お布施が必要になるのは、主に次のような場面です。
葬儀・告別式 | 亡くなった日の翌日以降 |
納骨法要 | 葬儀・告別式から49日以内 |
新盆・初盆法要 | 故人が亡くなってから1年目のお盆 |
四十九日法要 | 故人が亡くなってから49日目に行う法要 |
一周忌法要 | 故人が亡くなってから1年目の命日 |
三回忌法要 | 故人が亡くなってから3年目の命日 |
七回忌法要 | 故人が亡くなってから7年目の命日 |
お布施の渡し方
お布施として現金をそのまま僧侶に手渡しするべきではありません。封筒や奉書紙に包んで渡すのがマナーです。
1.まずは中袋を準備してお布施を包む
封筒を使う場合は郵便番号の記入欄のあるものを使用せず、無地のものを選択すると無難です。奉書紙を使う場合、中央に中袋を置いて左右上下を折りたたんで包みます。
2.封筒や奉書紙の表面への記載
封筒・奉書紙の表面に「御布施」と縦書きで書き記すのが一般的です。名前は表面に記載するケースもあれば、裏面に記載するケースもあります。あるいは名前だけではなく「〇〇家」と表記するのもよくあります。
3.裏面への記載
裏面には住所および包んだ金額を記載します。金額については旧字体で書くことが多く、その場合は「金壱萬円」「金弐萬円」「金参萬円」などと表記します。
4.袱紗や切手盆で渡す
ここまで準備した上で、さらに袱紗(ふくさ)に包むあるいは小さなお盆(切手盆)に乗せて渡しに行きます。袱紗に入れているときは、僧侶の前でお布施を袱紗から取り出して手渡しします。
・入れる金額の相場
お布施の金額は、宗派や地域によっても異なることがありますので、事前に確認をしておくと安心です。以下に一般的な金額の相場を示します。
葬儀・告別式 | 10万円~50万円 |
納骨法要 | 1万円〜5万円 |
新盆・初盆法要 | 3万円~5万円 |
四十九日法要 | |
一周忌法要 | |
三回忌法要 | 1万円~5万円 |
七回忌法要 | |
また、この金額以外にも、お車代やお食事代としてそれぞれ5,000円~1万円ほどを用意することもありますのでその都度必要性を判断して準備しておくと良いでしょう。
・お布施を渡すときの注意点
お布施を渡すとき、上記基本的な作法に則って渡すことに加え、以下の細かな点にも注意することが大事です。
水引は付ける必要がない
香典などの場合、水引が付いた封筒を使用しますが、お布施においては不要です。水引はそもそも不幸を払う意味合いを持つものであり、お布施を渡す場面においては関係がありません。地域の慣習がどうなのかにもよりますが、基本的には付ける必要がないことを覚えておくと良いでしょう。
肖像画が表に向くようにお札を入れる
包むお札は、封筒表側に肖像画くるように入れるとより良いです。バラバラに、乱雑に入れるのではなく、綺麗にお札が折れないように入れることにも配慮しましょう。
新札を包む
お布施として包むお札は新札を用意するようにしましょう。新札の準備が間に合わなかったときは、できるだけ綺麗なお札を選んで包むことが大事です。
奉書紙での包み方
お布施を奉書紙で包むとき、①左、②右、③下、④上の順に折りたたんでいくのが正しいやり方とされています。こうすることで裏面上部の折り返しが一番上にやってきます。
また、繰り返しになりますが「地域の作法について確認しておくこと」にも留意しましょう。
ご自身が一般的なルールと考えていても、その地域においては別のルールがあるかもしれません。それでも基本的なマナーに配慮して気持ちを込めていれば大きな問題ではないものの、できるだけ事前にお住いの地域においてどのような方法でお布施が渡されているのか確認しておくことをおすすめします。
Comments